報・連・相

最近はあまり聞かなくなった「ほうれんそう」。報告・連絡・相談。山崎氏による本書がルーツらしい。

経営者として社員のタテ・ヨコの意思疎通をいかに活発化できるか。著者の発見した解が「ほうれんそう」である。

よって、部下や社員に対して一方的に「報・連・相を徹底せよ!」と言うのは「ほうれんそう」本来の趣旨に反しているのである。下々に求めるものではない。報・連・相が自然となされるような風通しの良い組織をつくるのがリーダーの仕事なのである。

(略)直属の上司は、部下のおかれている状況を正確に把握し、上に報告していたか、中途入社で浮いた存在になりやすい社員に、同僚・部内の横の連絡はちゃんと行なわれていたのか、そして前からいる社員に気がねすることなく、何ごとも相談できる雰囲気はあったのかと考えた。(山崎富治『ほうれんそうが会社を強くする : 報告・連絡・相談の経営学』,ごま書房,1986,pp.17-18)

 

 私は、会社の"ほうれんそう"が立派に育っているかどうかの一つの目安は、イヤな情報、喜ばしくないデータなどが、何の粉飾もされずに正しく上に伝えられることだと思っている。人間関係がよく、和気あいあいで、ツーといえばカーというような組織が、一見うまくいっているように見えながら、その裏で陥りがちなのが、"イエスマン病"である。上の言うことは、ハイ、ハイと無批判に下へ伝えられるが、下からの批判や、否定的情報が上に伝わらない。
 上の人間が聞いて不快になりそうな情報は、なるべく伝えないようにしようという土壌がいつのまにかできているとしたら、この土壌には立派な"ほうれんそう"は育たない。にこにこと賛成してくれそうな情報ばかりが流れる土壌には、ほんとうの"ほうれんそう"は育たないのである。(山崎富治『ほうれんそうが会社を強くする : 報告・連絡・相談の経営学』,ごま書房,1986,pp.25-26)